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2005年09月22日

ラプチャーディスクの疲労寿命について知りたいのですが?  質問No.7

■破裂板の破裂圧力の考え方
破裂板の破裂圧力は、基本的には使用する材料の引張り強さ又はヤング率で決まります。 一般の構造物の設計においては、使用材料の許容応力を使用するのに対し破裂板はその材料の限界値が破裂圧力となります。

一般構造物は安全率を3~4見込んであります(これは使用期間が長く、使用期間中に破壊しない為の配慮です)が、破裂板の破裂圧力には安全率を見込むことは出来ません。

例えば、破裂板が取付られる装置の許容圧力(設計圧力)を2MPaとすると、この装置が破壊もしくは変形を起こす圧力はMin6MPaとなります。 一方破裂板の破裂圧力は、装置の許容圧力を超えることはできないため次となります。

2MPa(上限値) -その5%(0.1MPa) = 1.9MPa(設定値)
破裂圧力 =1.9MPa±5%(0.095)MPa


■破裂板の疲労について
上記の装置で実際の運転圧力が1.6MPaとした場合に、破裂板に安全率が有るとすれば、破裂圧力と運転圧力の比が安全率と考えられます。
つまり、(1.9-0.095=1.805MPa)÷1.6MPa=1.128となります。

同じ考え方で、装置を評価すると、6MPa÷1.6MPa=3.75となります。装置と比較して運転圧力に対しては、破裂板は30%の安全率しか持っていないことになります。

言い換えれば、装置では装置の破壊(変形)圧力に対して運転圧力は約27%であるのに対して破裂板のそれは約89%になります。 例えば、破裂圧力:1.9MPa,破裂時温度:22℃、口径50A(2B)、破裂板材質:316SS、金属単板型破裂板の板厚は約0.044mmとなります。

破裂圧力を確保するには前述の非常に薄い材料を使用する必要があります。
この薄い材料が、運転圧力の変動・温度・流体による腐食・使用環境等の条件により疲労することは当然と言えば当然のことです。 疲労は破裂板に経時劣化として破裂圧力の低下をもたらし、ついには運転圧力で破裂することになります。

以上より、破裂圧力は、安全操業とプラントの経済性からは、できるだけ低くおさえることが望まれますが、破裂板の寿命の点からは破裂圧力が運転圧力より出来るだけ高い方が寿命は長くなります。

■破裂板の疲労寿命について
破裂板は通常1年毎に新品に交換していただいています。
これは、上記で申しました通り、運転圧力の変動・温度・流体による腐食・使用環境等による経時劣化としての破裂圧力低下が避けられないためです。破裂板の型式および破裂板の使用条件により、経時劣化の程度は異なります。疲労寿命も同様で、破裂板個々の条件により異なります。弊社では、破裂板の寿命判定プログラムを準備しておりますので、是非お問合わせ願います。

ご理解いただけましたでしょうか。
さらに詳しくお知りになりたい場合は、弊社までご連絡ください。

投稿者 fike1 : 2005年09月22日 20:10